メガホンを取ったアラン・J・パクラ監督は、本作を単なる事実の再現にとどめず、極上のスリラーへと昇華させた。過度なBGMを排除し、タイプライターの音や電話の呼び出し音、静寂の沈黙を効果的に使うことで、目に見えない陰謀の恐怖を視覚的・聴覚的に創出している。
撮影監督ゴードン・ウィリスによる光と影の対比も見事だ。照明が燦々と照らす明るく広大なニュースルームと、漆黒の闇に包まれた不気味な地下駐車場。この極端なコントラストが、真実を探求する光とそれを拒む権力の影を象徴的に表現している。本作は最高峰の政治スリラーでありながら、表現の自由と民主主義の危機を描いた極めて完成度の高い社会派ドラマとして、映画史にその名を刻んでいる。