近年、回転寿司チェーン各社が発表するフェアメニューや公式発表資料を見ると、サイドメニューやスイーツだけでなく、主軸であるマグロやサーモンのビジュアル強化に多大な経営資源が投じられていることが分かります。最新のトレンド調査でも、消費者が飲食店を選ぶ際の決定打として「SNS上の写真の美しさ」を挙げる割合は年々増加しています。
しかし、ネット上の掲示板やSNSの投稿を検証すると、いわゆる「写真詐欺」に対する消費者の視線はかつてないほど厳しくなっています。「広告の写真ではあんなに分厚く艶やかだったのに、運ばれてきた寿司はネタが小さくパサついていた」「過度なフィルター加工で現物との色が違いすぎる」といった不満の声が後を絶ちません。
取材に応じた都内の寿司職人は、現場のリアルな苦悩を次のように語っています。
「SNSでバズっている写真を見て来店されるお客様が増えたのはありがたいですが、中には席に寿司が届いてから何分もスマホを構え続け、シャリが冷め、ネタの脂が溶け落ちてから口に運ぶ方がいらっしゃいます。職人としては、最も美味しい瞬間を逃さず召し上がっていただきたいのが本音です」
この証言が示す通り、寿司の写真は「美味しさを伝える手段」であって「自己目的化」してはなりません。飲食店側にとっては過剰な誇大広告を避けつつ魅力を最大化する誠実なビジュアル設計が求められ、食べる側にとっては提供された瞬間の美しさを素早く捉えて味覚に集中するスマートなマナーが求められています。