坂上忍が芸能界に足を踏み入れたのは、わずか3歳の頃だった。入団したのは、多くのスターを輩出した名門・劇団若草。だが、そのきっかけは決して「有名になりたい」といった本人の野心ではない。
幼少期の彼は、近所の子供たちと満足に会話もできないほどの重度な人見知りだった。心配した母親が「少しでも社交性を身につけさせたい」と習い事感覚で劇団に入れたのがすべての始まりだ。引っ込み思案だった少年は、カメラの前に立つと一変する。役を与えられた瞬間にスイッチが入り、大人顔負けの表情を見せた。
その才能はまたたく間に業界関係者の間で噂となり、「泣きの演技をやらせたら右に出る者はいない」と評される天才子役へと成長していった。