一方で、過剰なまでに「肉体」そのものを作品の主役に据えるムーブメントも存在する。世界的なヒットを記録したNetflixのオリジナルドラマ『サンクチュアリ -聖域』は、その極致と言えるだろう。大相撲という特殊な世界を描くため、キャスト陣は過酷なトレーニングと食事制限、増量を重ね、本物の力士さながらの重厚な肉体を作り上げた。
作品の裏側に迫るメイキングのドキュメンタリー映像では、俳優たちが自らの限界を超えて肉体を改造していく壮絶なプロセスが記録されている。極端な肉体美や巨体がエンターテインメントとしての刺激を提供する一方で、その反動として、視聴者の側には「日常生活における健全な身体とは何か」という問いが浮上した。フィクションの中の極限パフォーマンスと、日常を過ごす人間の現実的なフォルム。その対比が、結果として「普通」の価値を再認識させる契機となったのだ。