八昌を語る上でファンが必ず熱狂的に議論するのが、「青のれん(青八昌)」と「赤のれん(赤八昌)」の明確な系譜の違いです。同じ「八昌」という屋号を掲げていながら、のれんの色が異なる背景には、昭和から平成にかけて紡がれたのれん分けの歴史が存在します。
一般的にグルメファンの間で全国的な知名度を誇るのが、小川弘(おがわ ひろし)氏が築き上げた「青八昌」の系列です。小川氏が手掛けた薬研堀の店舗を筆頭に、のれんの色を鮮やかな青地に白い文字で統一。さらに、仕入れが難しい希少な「二黄卵(1つの卵に黄身が2つ入った卵)」と、広島お好み焼き専用麺の最高峰「磯野製麺」の生麺を使用することを青八昌の象徴としました。
一方で「赤八昌」は、小川氏が独立する以前のルーツや、親族・初期共同創業者の流れを汲む店舗(竹屋町など)に見られるスタイルです。赤八昌ではオーソドックスな袋麺を使用したり、卵も通常のシングル卵を使用するなど、昔ながらの下町情緒ある広島お好み焼きの素朴な味わいを大切に残しています。
両者の違いは優劣ではなく、「洗練された職人技の極致を追求した青」と、「広島の原風景としての日常食を守る赤」という哲学の相違にあります。現在、メディアや口コミで広く話題になる行列店の多くは「青八昌」の系譜に属しています。