この病の恐ろしさは、酸素交換を担う肺胞の壁である「間質」に炎症が起き、徐々に組織が硬く線維化していく点にある。本来なら柔らかく膨らむはずの肺が柔軟性を失い、酸素を体内に取り込めなくなってしまうのだ。
歌手の八代亜紀さんは、指定難病である自己免疫疾患(膠原病の一種である多発性筋炎・皮膚筋炎)を併発し、急速に進行する間質性肺炎によって命を落とした。また、芸能界では劇団四季の創始者である浅利慶太さんをはじめ、数々の映画や舞台で名演技を魅せた俳優たちもこの病で他界している。長年、声を張り上げ、マイクの前で全力を尽くしてきた表現者たちが、最終的に呼吸すら困難になるという現実はあまりに痛切だ。
病型は多様で、原因が特定できない特発性肺線維症(IPF)をはじめ、関節リウマチや皮膚筋炎などの膠原病に伴うもの、あるいは特定の環境粉じんや薬剤が引き金となるものまで多岐にわたる。いずれの型であっても、一度壊れた肺組織を元に戻すことが極めて難しいという厳しい現実が存在する。