UAE移住が日本国内で一大ブームとなった契機は、何と言っても「タックスヘイブン(無税国家)」としての魅力であった。しかし、2026年現在の税制環境は大きく変貌を遂げている。
最大の転換点は、2026年6月に施行された「連邦法人税(標準税率9%)」の導入だ。長年無税を貫いてきたUAEが法人税制に踏み切った背景には、OECD(経済協力開発機構)主導の「国際的最低税率ルール」への適合と、EUのタックスヘイブン・ブラックリスト入りを回避する狙いがあった。現在の法人税は、年間純利益が37万5,000AED(約1,500万円)を超える企業に対して9%が課される。
フリーゾーン(経済特区)内に設立された法人については、一定の条件(適格所得の要件を満たすこと、実質的経済活動実態が存在することなど)をクリアすれば0%の免税恩典を維持できる制度(Qualifying Free Zone Person)が用意されている。だが、ペーパーカンパニーを用いた形式的な租税回避は完全に封じ込められ、オフィス契約や現地スタッフ雇用など実質的な事業運営コストが求められるようになった。
一方で、「個人の所得税」「住民税」「キャピタルゲイン税」「相続税・贈与税」は依然として0%が維持されている。給与所得者や個人投資家にとって、手取り額を最大化できる環境であることに変わりはない。
ビザ制度に関しては、長期滞在を可能にする「ゴールデンビザ(10年間有効)」の要件緩和が定着している。200万AED(約8,000万円以上)の不動産投資や、科学者・専門職、起業家などを対象に発行され、スポンサーなしで家族を含めた長期滞在が可能だ。また、観光目的の日本人渡航者に対しては、事前のビザ申請不要で入国時に30日間の無料滞在許可が付与されるオンアライバルビザ制度が継続されている。