ギラン・バレー症候群の原因とは?風邪や鶏肉食中毒から麻痺する真相

ギラン・バレー症候群の原因とは?風邪や鶏肉食中毒から麻痺する真相

ギラン・バレー症候群の原因とは?風邪や鶏肉食中毒から麻痺する真相についての最新情報をお届けします。

ギラン・バレー症候群は、脳や脊髄から全身に伸びる「末梢神経」が広範囲に障害を受ける急性多発ニューロパチーです。最大の謎とされる「なぜ突然神経が侵されるのか」という点について、近年の神経免疫学ではそのメカニズムが明確に解明されています。

最大の特徴は、発症する1〜3週間ほど前に約70%の患者が何らかの感染症(前駆感染)にかかっているという事実です。喉の痛みや発熱を伴う一般的な風邪、あるいは下痢や腹痛を伴う胃腸炎を経験したあと、感染症そのものは治癒したように見えた段階で、突如として手足の麻痺が始まります。

ここで重要な役割を果たすのが、細菌やウイルスを排除するために人体が作り出す「抗体」です。本来であれば体を守るはずの免疫システムが、ある特殊な条件によって自らの神経を攻撃してしまう現象、これが自己免疫の暴走(分子模倣:Molecular Mimicry)です。

特に危険因子として医学界で最も注目されているのが、食中毒の原因菌として知られる「カンピロバクター(Campylobacter jejuni)」です。加熱不十分な鶏肉などを介して感染するこの細菌の表面構造(リポオリゴ糖)は、人間の末梢神経の表面に存在する糖脂質「ガングリオシド」と驚くほど酷似した分子構造を持っています。

外敵であるカンピロバクターを排除しようと体内フル稼働で作られた「抗ガングリオシド抗体」は、構造がそっくりな自分自身の末梢神経をも「敵」と誤認して一斉に攻撃を仕掛けます。その結果、神経の伝達を保護する髄鞘(ずいしょう)や情報を送る軸索(じくさく)が破壊され、脳からの「手足を動かせ」という指令が筋肉に届かなくなって麻痺が引き起こされます。

カンピロバクター以外にも、サイトメガロウイルス(CMV)、EBウイルス、マイコプラズマ肺炎、さらにはインフルエンザなどの呼吸器感染症も代表的な前駆感染として挙げられます。いずれも日常で誰もがかかり得る病気であり、体質や偶然の免疫反応の連鎖によって発症に至る点が、この疾患の恐ろしさといえます。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。