物語のクライマックス、防衛省の衛星兵器「天の矛」と地上結界「地の盾」によって逃げ場を完全に断たれた殺せんせー。二重結界のリミットが深夜24時に迫る中、ボロボロに衰弱した黄色い超生物を取り囲んだのは、政府の精鋭部隊ではなく、彼が手塩にかけて育て上げた3年E組の生徒28人でした。
生徒たち全員が触手を一本ずつ押さえつけ、リーダーである潮田渚が心臓の上にナイフを構える。その瞬間、殺せんせーが生徒たちに求めたのは「最後の出席確認」でした。1番の赤羽業から順に名前が呼ばれ、一人ひとりが声を震わせながら「はい」と答えていく時間は、まさに1年間の授業の総括であり、魂の点呼そのものでした。報道や一般的なフィクションが描く「敵の討伐」とは180度異なり、そこにあったのは恩師に対する最大級の敬意と感謝の儀式だったのです。
震える手でナイフを握り、殺意と悲痛な感情の狭間で呼吸を乱す渚に対し、殺せんせーはネクタイを優しく整え、「落ち着いて。笑顔で見送りなさい」と語りかけます。渚が涙を拭い、満面の笑顔とともに心臓へ対先生用ナイフを突き立てた瞬間、殺せんせーは黄色い光の粒子となって夜空へと霧散していきました。この殺せんせーの死亡シーンにおいて、生徒たちが流した涙は単なる別れの悲哀ではありません。「大切な存在の命を奪うことでしか恩返しができない」という絶対的矛盾を受け入れ、子どもから大人へと精神的脱皮を果たした瞬間の激痛だったといえます。