綾波レイを象徴する構図として、アニメファンのみならずカルチャー全体に定着しているのが「巨大な満月を背にして立つレイ」のビジュアルです。TV版第5話「レイ、心のむこうに」や第6話「決戦、第3新東京市」、そして数々の公式壁紙や版権イラストで採用されたこの演出には、単なる美的センスを超えた重厚なメタファーが込められています。
制作当時のインタビューや関係者の証言によると、月は古代神話における「母性」「死と再生」「無意識」の象徴であり、作中設定における「黒き月(リリスの卵)」と直接リンクしています。太陽のような生命力を象徴する惣流・アスカ・ラングレー(赤・昼・動)に対し、綾波レイ(青・夜・静)は夜空に浮かぶ月の光のように、他者の光(シンジやゲンドウ)を反射して自らを照らし出す存在としてデザインされました。
デスクトップ用背景画像や公式ビジュアルとして長年圧倒的な支持を集める背景には、彼女が背負う「人類の母たるリリス」という神話的宿命と、「無機質な実験室で生まれた孤独な少女」という痛切なリアリズムが、あの月夜のシルエットに見事に凝縮されているからです。