巨額の遺産分配を受けながらも、彼を突き動かしているのは尽きない映像への情熱です。プリンス・マイケル・ジャクソンIIの職業は、単なる名士やソーシャライトではなく、自らの手でカメラを回し物語を紡ぐ「映画監督・映像作家」です。
ビギ・ジャクソンの映画制作に対する情熱は一時的な趣味の域を遥かに超えています。彼は子どもの頃からマーベル作品やSF映画、映画史に残る名作群を貪るように鑑賞し、映像文法を独学で研究してきました。兄プリンスと共にYouTubeで映画批評チャンネルを立ち上げ、専門的な撮影技術や脚本構成について熱弁を振るっていた姿を覚えている映画ファンも多いでしょう。
その研鑽は実を結び、2026年に脚本・監督を務めた短編映画『Rochelles(ロシェルズ)』は、サンタモニカ映画祭で最優秀ドラマ賞を受賞するという快挙を成し遂げました。現場スタッフの証言によると、彼は「マイケル・ジャクソンの息子」という特権を一切誇示せず、小規模なクルーとともに機材の運搬から編集作業の細部に至るまで自ら汗を流し、真摯に作品づくりに向き合っていたといいます。
父マイケルもまた、世界的な短編音楽映画『スリラー』や『ゴースト』を生み出し、常に映画への進出を夢見ていた表現者でした。ビギは、父が愛しながらも音楽の圧倒的な名声ゆえに成し遂げられなかった「純粋な映画監督」という夢を、自らの才能と努力で引き継ごうとしているのです。