愛らしい子犬を迎えて間もない飼い主を突如として震撼させるのが、被毛の大規模な脱落です。なぜ犬であるはずのポメラニアンに「猿」という名前を冠した特異な現象が起こるのでしょうか。その真相は、ポメラニアン被毛の成長サイクルと、犬種特有の毛の生え変わりシステムにあります。
ポメラニアンの被毛は、皮膚を保護する太く硬い「オーバーコート(上毛)」と、高い保温性を発揮する綿毛のような「アンダーコート(下毛)」からなる典型的なダブルコート構造を持っています。生まれたばかりの子犬は、体温維持を最優先するために全身が柔らかいパピーコート(子犬毛)だけで覆われています。しかし、成長とともに骨格や筋肉が発達すると、体を外敵や紫外線から守る頑丈な成犬用のダブルコートを獲得しなければなりません。このポメラニアン子犬の毛の生え変わりが急激に集中して起こる時期こそが、いわゆる猿期の正体です。
では、ポメラニアン猿期は生後何ヶ月から始まり、ポメラニアン猿期はいつからいつまで続くのでしょうか。獣医師の臨床データおよびブリーダーへの取材知見を総合すると、個体差はあるものの、標準的なタイムラインは以下のように進行します。
生え変わりの第一波は、生後4ヶ月前後から顕著になります。まず額や目の周り、鼻筋周辺の産毛が抜け始め、輪郭がはっきりと浮き出てきます。その後、生後5ヶ月〜6ヶ月頃に抜け毛のピークを迎え、背中やお尻の毛もスカスカになり、アンバランスな体つきが最も際立ちます。そして生後8ヶ月〜10ヶ月頃になると徐々に艶のある大人のオーバーコートが密集し始め、1歳の誕生日を迎える頃には大半の子が「お猿さん」を卒業します。ただし、ポメラニアンの被毛が本来の完璧なボリュームに到達するまでには2歳から3歳前後までかかるのが通例であり、焦らずに見守る姿勢が求められます。