スムースボーダーコリーの要求する運動負荷は、一般家庭の想像を絶します。「1日2回、各30分の散歩」程度では、彼らのエネルギーゲージは10%も消費されません。最低でも「1回1時間×2回」の散歩に加え、自由運動や知的なトレーニングが必須となります。
しかし、単に距離を走らせるだけでは意味がありません。動物行動学の観点からも、作業犬は「身体的な疲労」以上に「脳の疲弊(メンタルワーク)」を求めているからです。指示に従って障害物を越えるアジリティ、フリスビーのキャッチ、複数のコマンドを連続して実行するオビディエンス(服従訓練)など、「考えながら体を動かす」セッションを日常に組み込む必要があります。
知能指数の高さは、しつけの難易度を劇的に引き上げる刃にもなります。人間の表情、声の抑揚、視線の微細な動きを瞬時に分析するため、飼い主の指示が一貫性を欠いていたり、自信なさげな態度を見せたりした瞬間、「この指示には従う価値がない」と独自の判断で動き始めます。一度でも「吠えたら要求が通った」「引っ張ったら前進できた」という成功体験を与えると、わずか数回でそれを強固な学習パターンとして固定化してしまいます。中途半端な知識で挑むと、人間側が完全にコントロールされる立場へと逆転します。