ちびまる子ちゃんの登場人物において、「どこまでが実在で、どこからが創作なのか」という境界線は、ファンの間で長年議論の的となってきました。結論から述べると、はまじは本名も含めて完全に実在する同級生であり、花輪くんは実在の女子児童をベースに大胆な性別改変を施したキャラクターです。
はまじのモデルとなったのは、さくらももこさんの小学校時代の同級生である浜崎憲孝(はまざき・のりたか)氏です。アニメそのままの明るいキャラクターで、教室の笑いを一身に集めていたムードメーカーでした。さくらさんはエッセイや原作漫画の中で彼の実名をそのまま使い、本人も成人後に「自分がはまじである」ことを公表してメディアに登場しました。
一方で、視聴者の誰もが架空の大富豪だと思い込んでいた花輪くん(花輪和彦)には、意外な実在モデルが存在します。さくらももこさんが過去のエッセイ集『さるのこしかけ』や当時の対談で明かしたところによると、「花輪くんのモデルは、実在したお金持ちの女の子」でした。実家が大病院や大地主といった資産家で、登下校時に高級車で送迎されるような浮世離れした令嬢がクラスに実在していたのです。
では、なぜ女子からキザな男子児童へと変更されたのか。さくらさんは少女漫画雑誌『りぼん』での連載にあたり、「少女漫画には読者が憧れる、あるいはツッコミを入れたくなるようなキザなお金持ち男子が必要」「女の子のまま大金持ちとして描くと嫌味に見えかねないが、男の子が『ヘイ、ベイビー』とおどけて言えばギャグとして成立する」という高度な計算を働かせました。さらに、苗字の「花輪」は敬愛する漫画家・花輪和一(はなわ・かずいち)氏へのオマージュとして名付けられたという経緯があります。