能勢町は、知る人ぞ知る栗の名産地だ。なかでも「銀寄(ぎんよせ)」と呼ばれる品種は、その圧倒的な大粒さと、口の中でほろほろとほどけるような上品な甘みで知られている。江戸時代、飢饉に苦しむ人々を救うために売り出され、銀(お金)を寄せるほど繁盛したことからその名がついたという逸話がある。
秋のシーズンになると、この「銀寄」を求めて開店前から数百人規模の行列ができる。2026年の現在もその人気は衰えるどころか、SNSでの口コミ拡散や本物志向の広まりによって、さらに激化している。早朝5時から並ぶという熱心なファンは、「ここで手に入る栗は、スーパーのものとはツヤも大きさも全く違う。一度食べたら他には戻れない」と語る。手作業で丁寧に選別された大粒の栗は、午前中の早い段階で完売してしまうことも珍しくない。