SNSやネット掲示板で定期的に盛り上がる「大判焼き呼び方論争」を検証すると、局地的なローカル呼称を持つ地域出身者ほど、自らの呼び名に対して強いこだわりと愛着を持っていることが分かります。
広島県で絶対的な支持を得ている「二重焼き」について、地元住民からは「上と下の生地を2枚重ねて密閉するから二重焼き。大判焼きと言われてもピンとこない」「修学旅行で県外に出て初めて全国共通語じゃないと知って愕然とした」といった声が多数寄せられています。広島県内ではスーパーの店頭実演販売でも堂々と「二重焼き」の看板が掲げられています。
長野県上田市を中心とする東信エリアの「じまん焼き」も熱狂的なファンを持つ呼称です。地元甘味処「富士アイス」が手掛けるじまん焼きは、薄皮にぎっしり詰まったあんこやカスタードが特徴で、地元住民の日常のおやつとして定着しています。「信州でおやきと言えば野沢菜などを包んだ蒸し餅のことであり、甘い焼き菓子は絶対にじまん焼き」という明確な使い分けが存在します。
一方で、北海道や青森県、岩手県などの北日本地域では、このお菓子を「おやき」と呼ぶ文化が深く根付いています。本州から移住した人々が「おやきを買ってきたよ」と言われて開けたらあんこ入りの今川焼きが出てきて混乱したという体験談は、ネット上でも定番のカルチャーショックネタとして語り継がれています。北日本における「おやき」は、粉モノを平たく焼いた素朴な間食全般を指す古語が、そのまま今川焼きにスライドして定着した結果です。
ネット上の反応を見ると、「御座候は単なる大判焼きではない。餡の水分量と皮の薄さが別格の独立した和菓子」「地元では蜂楽饅頭と呼ぶのが常識。ハチミツの風味が命」といった、単なる名称の違いを超えた製法・味へのリスペクトが論争の背景にあることが浮き彫りになっています。