現在における「くんかくんか」の使われ方は、ゼロ年代のアングラな掲示板文化から、SNSを中心としたライトな「推し活カルチャー」へと大きく舞台を移している。主要SNSや動画配信サイトにおけるユーザーの利用動向を分析すると、興味深い意識の変化が浮き彫りになる。
特にVTuberの生配信やアニメ公式グッズの開封動画では、ファンがチャット欄で「尊すぎて画面越しにくんかくんかしてる」「届いたアクスタをくんかくんかした」といったコメントを投下する光景が日常化している。かつての怪文書にあったグロテスクな情念は適度に脱色され、「狂おしいほど可愛い」「存在を五感で愛でたい」という好意をライトに伝える記号として消費されているのが実態だ。
一方で、一般層からの視線には依然として冷ややかな側面も残る。ネット上のリアルな反応を抽出すると、以下のような二極化が見られる。
「推しの概念香水を買ってくんかくんかするのが日課。この言葉以外にあの高揚感を表現できる日本語が見当たらない」(20代・女性ファン)
「VTuberがグッズを紹介しているときにコメント欄が一斉に『くんかくんか』で埋まるのは、内輪ノリとしては理解できるが初見バイバイ感もある」(20代・男性視聴者)
「職場の上司が冗談交じりに『〇〇さんのデスクをくんかくんか』とSNSに書いていて凍りついた。現実の生身の人間に向ける言葉ではない」(30代・会社員)