この変化の波を最も切実な思いで受け止めているのが、教育現場であるインターハイや地方予選の舞台です。高校女子陸上ユニフォームの現場では、かつて先輩から受け継いだセパレート型を着ることに強い羞恥心や抵抗感を抱きながらも、「周りと同じでなければならない」という無言の同調圧力に屈していた女子生徒が少なくありませんでした。
全国高体連陸上専門部が実態調査を行った際、女子部員の68.4%が「競技中やウォーミングアップ中に不審な撮影や視線を感じて恐怖を覚えたことがある」と回答。ある強豪校のOG選手は、メディアのインタビューで次のように当時の苦悩を吐露しています。
「ウォーミングアップ中、スタンドから望遠レンズを向けられるたびに背筋が凍る思いでした。跳躍や脚を広げる動作の瞬間にシャッター音が鳴り響く。自分の努力の成果ではなく、身体の一部だけが消費されている感覚に耐えられず、競技を辞めたいと何度も思いました」
こうした現場の悲痛な叫びを受け、全国各地の高体連はユニフォーム選択の柔軟化を主導。現在では、都道府県大会のスタートラインに並ぶ女子高生のうち、半数以上が太もも中部までカバーするショートタイツやハーフパンツ形状を選択する光景がごく自然なものとなっています。