個人から個人へ無償、あるいは著しく低い価格で車を譲渡した場合、受け取った側(受贈者)に贈与税の納税義務が発生します。基本となるのが、年間の基礎控除枠である車の贈与税110万円の壁です。贈与税は毎年1月1日から12月31日までの1年間に譲り受けた財産の合計額に対して課税されるため、車の評価額が単体で110万円以下であり、かつ他にその年中の贈与がなければ贈与税は発生せず、申告も不要となります。
課税対象となる金額の計算式は極めてシンプルです。
課税価格 = 車両の時価評価額 + その他の年間贈与財産 - 基礎控除110万円
注意すべきは、贈与税率には「一般贈与財産用(一般税率)」と「特例贈与財産用(特例税率)」の2種類が存在する点です。直系尊属(父母や祖父母)からその年の1月1日時点で18歳以上の子や孫へ贈与する場合は特例税率が適用され、税率負担が一部軽減されます。一方で、夫婦間や兄弟姉妹間、あるいは未成年の子への譲渡には一般税率が適用されます。
具体的な車の贈与税計算シミュレーションを見てみましょう。例えば、父親から20歳の子へ時価300万円相当の車両を譲渡した場合(他に同年中の贈与がない場合)、課税対象額は「300万円 - 110万円 = 190万円」となります。特例税率(200万円以下は税率10%、控除額0円)を適用すると、納付すべき贈与税額は19万円に達します。もしこれが夫婦間の譲渡であれば、一般税率(同10%)が適用され、同じく19万円の納税が必要です。