船の現在地が丸見えの謎!Ais船舶位置情報の仕組みと無料追跡の真相

船の現在地が丸見えの謎!Ais船舶位置情報の仕組みと無料追跡の真相

船の現在地が丸見えの謎!Ais船舶位置情報の仕組みと無料追跡の真相の重要ポイントをご紹介します。最新トレンドがチェックできます。

日常的にスマートフォンで地図を開き、画面上にひしめく無数の船のアイコンをタップすると、船名、船籍、速力、行き先、さらには喫水(船の沈み具合)までが手に取るように分かります。この圧倒的な透明性を支えている技術が、AIS船舶自動識別装置の仕組みです。

国際海事機関(IMO)が定めたSOLAS条約(海上人命安全条約)に基づき、現在では国際航海に従事する300総トン以上の全船舶および国際航海に従事しない500総トン以上の全船舶、さらにはサイズを問わずすべての旅客船に対してAISの搭載が国際的に義務付けられています。AIS装置は、自船のGPS位置、針路、対地速度(SOG)、目的地の港、到着予定時刻(ETA)といった航海データを、超短波(VHF帯:161.975MHzおよび162.025MHz)を用いて自動的かつ定期的に周囲へ電波として発信し続けています。

ここで極めて重要な事実は、「AISの無線信号には暗号化が一切施されていない」という点です。もともとAISは、見通しの悪い夜間や濃霧の海上で、お互いの船が存在を知らせ合い、衝突を未然に防ぐ「船舶間相互通信」を目的に開発されました。つまり、電波の届く範囲にいる誰もが傍受・解読できるオープンな信号として設計されているのです。

では、なぜ個別の船の電波が、地球規模のウェブサイトで集約されているのでしょうか。その立役者は、世界各地の沿岸部に住むアマチュア無線家、港湾関係者、船舶ファンなどの有志ボランティアたちです。世界中の愛好家が自宅の屋根やオフィスの窓辺に小型アンテナと受信機を設置し、沖合から飛んでくる電波をキャッチしてインターネット経由で配信サーバーへと転送しています。こうした数万人規模の分散型ネットワークの存在によって、私たちは手元にいながらにして船舶位置情報をリアルタイムで把握できる環境を享受しています。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。