馬尾症候群の進行過程で、最も迅速な獣医学的対応が求められるのが排尿障害や尿失禁の出現です。馬尾神経の中には、膀胱の筋肉を収縮させて排尿を促す骨盤神経や、尿道括約筋をコントロールする陰部神経が含まれています。
これらの神経が強く圧迫されると、愛猫は自力で膀胱の尿を押し出せなくなります。その結果、膀胱が限界までパンパンに膨らんで尿がポタポタと漏れ出す「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」を起こしたり、逆にトイレで力んでも全く尿が出ない状態に陥ります。便を押し出す腸の蠕動運動や肛門括約筋も麻痺するため、重度の便秘や便失禁を併発するケースも多発します。
完全におしっこが出ない状態が24〜48時間続くと、体内に老廃物が溜まり急性腎不全や尿毒症を引き起こし、短時間で命に関わる危険性があります。トイレの失敗が増えたり、下腹部が硬く張っている場合は夜間であっても救急診療を受診すべき緊急事態です。