本作の主演を務めるのは、世界的評価を確固たるものにしている名優・役所広司だ。極限状態に置かれた元刑事を演じる彼は、役作りのために数ヶ月にわたる徹底的な肉体改造と精神的な孤立状態を作り出した。関係者が明かした制作秘話によれば、撮影期間中の彼はカメラが回っていない時間でも役柄の悪夢に苛まれていたという。
「これまでにない極限の没入感だった。台本を開くたび、足元が崩れ去るような感覚に襲われた」と、役所自身も周囲に吐露していたとされる。是枝監督との初タッグにして、日本演劇界の最高峰が挑んだ演技の境地は、見る者の精神を激しく揺さぶる。台詞を最小限に抑え、目線の動きやかすかな身振りだけで人間の破滅を描き出す圧巻の演技力は、すでに賞レース本命の呼び声が高い。