インターネットの検索窓に「まかいの牧場」と打ち込むと、サジェストキーワードに並ぶ「魔界」の二文字。初めて目にする旅行者が「何か異世界のような恐ろしい演出があるのではないか」と好奇心や疑念を抱くケースは後を絶ちません。しかし、報道資料や公式の社史を紐解くと、そこには極めて正当で深い歴史的背景が存在します。
結論から言えば、「まかいの」とは創業家である「馬飼野(まかいの)」氏の名字を平仮名表記にしたものです。そのルーツは遠く鎌倉時代、源頼朝が富士の裾野で催した大規模な軍事演習「富士の巻狩り」の頃にまで遡ります。当時、幕府の軍馬の管理や飼育を任されていた名門の家系が「馬を飼う野原」から「馬飼野」を名乗るようになり、その伝統を受け継ぐ血脈が戦後、朝霧高原の開拓に入植したことが牧場創設の原点となっています。
あえて漢字の「馬飼野牧場」ではなく平仮名の「まかいの牧場」としてブランド展開した背景には、「小さな子どもからお年寄りまで誰もが親しみやすく、笑顔で呼んでもらえる場所にしたい」という創業者の強い願いが込められていました。オカルト的な憶測とは正反対の、大地と命を育んできた開拓者の真摯な歩みが、この個性的な名前に凝縮されています。