息を吸うと胸が痛い?謎の激痛プレコーディアルキャッチ症候群の真実

息を吸うと胸が痛い?謎の激痛プレコーディアルキャッチ症候群の真実

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「前触れもなく左胸に鋭い痛みが走り、息を吸おうとするとさらに痛みが悪化して深く吸えない」――こうした経験を訴える患者の多くに行き当たる診断名が、プレコーディアルキャッチ症候群です。「プレコーディアル(Precordial)」は「心臓前部(前胸部)」、「キャッチ(Catch)」は「引っかかる・挟まる」を意味し、1955年に心臓専門医のハインツ・ミラー医師らによって医学界に初めて詳細が報告されました。

痛みの性質は、鈍重な圧迫感ではなく「針で刺すような鋭い痛み(刺痛)」「一瞬チクッとする局所的な痛み」と表現されるのが特徴です。痛む範囲は非常に限定的で、指先1〜2本で「ここが痛い」とピンポイントで指し示せるケースがほとんどを占めます。発作の持続時間は極めて短く、数秒から長くても3分以内に綺麗に消失します。痛みが引いた後は何の後遺症も残らず、直前までの激痛が嘘のように平穏な状態に戻るため、周囲に痛みを理解されにくいという側面も持っています。

発症年齢は6歳から20代前半の若年層にピークがあり、加齢とともに発作の頻度は自然と減少していきます。しかし、知識を持たない当事者にとっては「心臓が止まるのではないか」という強烈なパニックを引き起こす要因となり、救急外来へ駆け込むきっかけとなるケースが後を絶ちません。

前田 葵
著者

前田 葵

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。