両者の確執が決定打となった背景には、映画公開から数年後に水面下で進んでいた別の映像化プロジェクトが存在します。万城目氏が自身のX(旧ツイッター)で明かした「あまりに理不尽なボツ脚本の経緯」は、文壇およびネット上に凄まじい衝撃を与えました。
万城目氏の証言によると、ある映像化の企画において、プロデューサー側から「原作者自ら脚本を書いてほしい」と強いオファーを受け、膨大な時間を費やして書き上げたといいます。しかし、提出された脚本に対して現場から返ってきた対応は「原作者の書いたものは使えない」という冷酷な反故通告でした。その後、作品は原作者の意図から遠く離れた別の脚本家の手によって書き直される方針へと強引に舵を切られたのです。
「何ヶ月も苦心して書いた原稿を一方的に捨てられた」という万城目氏の切実な訴えは、クリエイターの尊厳を軽視する映像ビジネスの傲慢さを赤裸々に暴き出しました。この理不尽な仕打ちに深く傷ついた同氏は、以降、自身の著作の映像化に対して極めて慎重なスタンスをとるようになります。