数個のイボがかゆいだけでなく、「短期間(数週間〜数ヶ月)のうちに胸や背中にイボが爆発的に増え、激しいかゆみを伴う」という特異なケースが存在します。これは皮膚科学において「レセル・トレラ徴候(Leser-Trélat sign)」と呼ばれる重要な臨床サインです。
レセル・トレラ徴候は、胃がんや大腸がんなどの消化器系悪性腫瘍、あるいは悪性リンパ腫といった体内のがん細胞が産生するサイトカインや増殖因子(TGF-αなど)が血流に乗って皮膚に到達し、表皮細胞を急速に増殖させることで生じると考えられています。
高齢者のイボの多発自体は珍しくありませんが、「急激な増殖」と「耐えがたい強いかゆみ」が同時に出現した場合は、皮膚だけでなく全身の精密検査(内視鏡検査やCT検査など)を視野に入れた迅速な医療対応が求められます。