話は1970年代に遡る。高度経済成長期の熱気が冷めやらぬ日本で、日本の氷菓・アイスクリーム産業は大きな転換期を迎えていた。当時、アイスといえば棒付きのシャーベットやカップアイスが主流。そこに突如現れたのが、チューブ型のポリエチレン容器に入った二本ワンセットのスタイルだった。
この革新的なパッケージを市場に投入したのが江崎グリコ株式会社だ。創業者である江崎利一が掲げた「事業を通じて社会に貢献する」という精神のもと、手や服を汚さずに子供たちが分け合って食べられる商品として1974年に誕生したのが「パピコ」である。当時としては斬新すぎる容器形状であり、食品製造業の技術を結集して量産化に漕ぎ着けた経緯がある。
日本アイスクリーム協会の資料を紐解いても、この時期の容器技術の進化は、日本の冷菓市場におけるターニングポイントとして記録されている。一本を買い、二人で分ける。あるいは一人で時間を置いて二本楽しむ。このフレキシブルな食べ方が、一気に駄菓子屋やスーパーの売り場を席巻していった。