興行の安全管理を担う公益財団法人日本相撲協会にとって、この問題は非常に根深い。観客の怪我を防ぐため、2008年以降には2人分の座布団を中央で結合した「二人掛け連結座布団」が導入された。一人では物理的に投げにくくする工夫だったが、興奮したファンが力任せに引っ張って投げるケースも散見され、完全な阻止には至っていない。
グローバルな視点でプロスポーツ業界を見渡すと、サッカーでの発煙筒投げ込みや野球のグラウンド侵入など、ファンの過剰な興奮に伴う安全リスクへの対応は共通の課題だ。しかし、相撲における座布団は「怒り」ではなく「称賛と歓喜」の表現として行われる点が独特と言える。日本相撲協会は、伝統文化の情緒とコンプライアンス遵守の狭間で、今も難しい舵取りを迫られている。