鏡花の異能力「夜叉白雪」は、仕込み刀を持つ巨大な異形の大太刀仕手を召喚し、一瞬で敵をなぎ払う凄絶な破壊力を誇る。しかし、この力には長年大きな謎と悲劇がつきまとっていた。自身で直接制御できず、携帯電話から聞こえる「声」にしか反応しないという致命的な制約。これこそが、彼女をポートマフィアの殺戮道具たらしめていた元凶である。
原作者の朝霧カフカが仕掛けた最大の伏線は、その異能の「由来」にある。夜叉白雪は、元々は鏡花の実の母が所持していた異能力だった。突如として襲いかかった災厄から幼い鏡花を守るため、母は自らの命と引き換えに、秘術によって異能を娘へと継承させたのだ。携帯電話を介さなければ発動しない呪縛のような仕様は、母の死に際の混乱と深い愛情が生み出した切ない事故だった。
そして物語は、入社試験を経て鏡花が自らの意志で夜叉白雪を完全に制御する「覚醒」の瞬間へと至る。単なる殺戮の剣から、人を護るための盾へ。自らの過去を受け入れ、母の遺した愛を真に理解した時、夜叉白雪は鏡花自身の真の力として新生を果たしたのだ。