スマホを開けばSpotifyで瞬時に数千万曲にアクセスできる時代に、わざわざ数千円を出して重い板を買うのはなぜか。その答えは「体験の質」にある。便利すぎるデジタル環境は、音楽を聞き流す対象へと変えてしまった。一方、レコードは盤の埃を払い、針を静かに落とし、20分ごとに盤をひっくり返す必要がある。
さらに、インディーズアーティストが自発的に音源を販売するBandcampの普及により、アーティストとファンが直接つながる手段としてアナログ盤が再注目されている。配信で曲を知り、本当に気に入った作品だけを物として手元に残す。デジタルとアナログのハイブリッドな付き合い方が、現代の音楽ファンにとって最も豊かで贅沢な音楽生活なのだ。