大手SNSや知恵袋、動画共有サイトを観察すると、鬼ハンに対する熱量は若年層と一部のカスタムマニアで二極化しています。特に地方の男子中高生において、ママチャリのハンドルを自ら工具で緩めて前方に倒す行為は、一種の「通過儀礼」として語り継がれています。
インターネット上のリアルな声を拾い上げると、支持派の意見には次のような心理が見え隠れします。
「普通のママチャリだとダサいけれど、鬼ハンにするだけで仲間内で目立てる」「ちょっとヤンチャな雰囲気を出したい手軽な自己主張」「前カゴに荷物を大量に積んでも、ハンドルが逃げているから膝に当たらない」といった、手軽なモディファイによる変身願望です。改造費用がほぼゼロで、工具一本で手っ取り早く周囲と差別化できる点が、資金力のない十代を引きつける要因となっています。
一方で、SNS上の客観的な評判や一般ドライバーからの視線は極めて冷淡です。「対向車線からフラフラ走ってくる鬼ハンのチャリは恐怖でしかない」「手首があらぬ方向を向いていて操作できているとは思えない」「旧車會を意識しているのだろうが、正直見ていて痛々しい」といった拒絶反応が大半を占めています。
現場取材を進めると、旧車會のイベントなどで見られる精巧な絞りハンやアップハンは、配線の延長やミリ単位のクリアランス調整が施された工芸的側面を持っています。しかし、街で見かけるママチャリや原付の鬼ハンは、単にボルトを緩めて力任せに角度を変えただけの粗雑なものが多く、この「カルチャーへの憧憬と技術的稚拙さのギャップ」が冷笑を買う本質的な構図となっています。