信濃国小県郡大石村(現在の長野県東御市)の農家に生まれた雷電爲右衞門は、幼少期から並外れた怪力で知られていました。成長後の体格は身長約197cm(6尺5寸)・体重約169kg(45貫)に達したと記録されています。江戸時代の日本人男性の平均身長が155〜158cm程度だったことを踏まえると、まさに現代で言う2メートル超・200kg超級の巨漢に相当する、圧倒的な威容でした。
その並外れた肉体から生まれた怪力伝説のエピソードは枚挙にいとまがありません。浅間山の噴火で飛んできた大石を軽々と動かして母を助けた逸話や、居酒屋で酒樽を片手で軽々と持ち上げた話など、講談や民話として数多く語り継がれています。
その規格外の素質を見出され、名君として名高い松江藩主・松平治郷(不昧公)の目に留まった雷電は、雲州松江藩のお抱え力士として江戸相撲の表舞台へ躍り出ることになります。松江藩の手厚い庇護のもとで英才教育を受けた雷電は、初土俵から引退まで驚異的な強さを見せつけ、江戸の町中を熱狂の渦に巻き込みました。