櫻井海音さんが芸能界に身を置く中で、常に付きまとってきたのが「ミスチル桜井の息子」という巨大すぎる看板でした。活動初期、彼は本名の「櫻井海音」ではなく「Kaito」という個人名のみを名乗り、公式プロフィールやインタビューでも父親の存在に一切触れませんでした。この姿勢の背景には、「親の名前を借りずに、実力だけでどこまで通用するのかを試したい」という強いプロ意識と矜持がありました。
関係者の証言や当時の取材によると、業界関係者の間ではKaitoさんが櫻井和寿さんの長男であることは周知の事実でしたが、所属事務所も海音さん本人の意向を尊重し、血縁関係をプロモーションに利用することは徹底して避けていました。もし最初から父親の威光を前面に出していれば、商業的な注目は即座に集まったとしても、「偉大な父を持つ二世」という固定観念が先に立ち、表現者としての純粋な評価を曇らせてしまうリスクがあったためです。
風向きが変わったのは、俳優として複数の代表作を残し、自分自身の足で立てる実力が証明された時期でした。芸名を本名の「櫻井海音」へと統一し、メディアの取材で家族について問われた際にも、不自然に否定したり隠したりすることなく、敬意を持って自然体で受け止めるスタンスへとシフトしていきました。父親の存在を無理に誇示することも、卑屈に隠すこともないその佇まいは、視聴者やファンからも「精神的に自立した本物の役者」として深い共感を呼んでいます。