春の選抜高等学校野球大会と、夏の全国高等学校野球選手権大会では、マウンドの気候も打者のコンディションも大きく異なる。寒風が吹き抜ける春は、指先の感覚やボールの飛距離に影響を与えやすく、比較的ロースコアの接戦が増える傾向にある。それに対して、灼熱の太陽が照りつける夏は、投手のスタミナ消耗とともに強打のチームが一気に試合の流れを引き寄せるシーンが多く見られる。
阪神甲子園球場という独特の空間も、ホームランのドラマを加速させる。浜風と呼ばれる左翼から右翼へと吹き抜ける強い風は、右打者の大飛球を押し戻すこともあれば、左打者の引っ張った打球をグングン伸びさせてスタンドへ運ぶこともある。風の読み、球場の広さ、そして大観衆の視線。これらすべてを味方につけた打者だけが、聖地での本塁打記録に接近できる。