沸騰ワード10志麻さん特集のオンエア時、スタジオの芸能人たちが「なぜこんなにシンプルなのに奥行きがあるのか」と絶句した場面がありました。その秘密を握るのが、志麻流のキャロットラペ隠し味である「ディジョンマスタード(粒マスタード)」と「柑橘の果皮・果汁」の二段構えです。
第一の隠し味である粒マスタードは、単なる辛味付けではありません。マスタードに含まれる天然の粘性物質と種子の外皮成分は、水溶性の酢と脂溶性のオイルを結びつける「天然の乳化剤」として機能します。通常、酢と油は時間が経つと二層に分離してしまいますが、マスタードを最初に酢としっかり溶かし合わせてから油を少量ずつ加えて攪拌することで、とろみのある安定したエマルション(乳濁液)が形成されます。このとろみが人参1本1本を均一にコーティングし、口に入れた瞬間の滑らかな舌触りを生み出します。
第二の隠し味として志麻さんが頻繁に提案するのが、「レモン果汁やオレンジの絞り汁、もしくは削った皮」です。フランスの家庭では定番の手法ですが、人参のβ-カロテン由来の甘みと柑橘のシトラール香は相乗効果を発揮します。市販の酢だけでは出せないフレッシュな酸味が人参の輪郭を際立たせ、レストランの前菜に匹敵する立体感ある香気へと昇華させます。