候補者が発表された直後、SNS上では祝福の声と同時に、「レコード大賞新人賞ノミネートの顔ぶれに驚いた」「一体なぜあの新人が選出されたのか」という疑問の声が数多く投稿されました。TikTokで数千万回再生を記録したバイラルヒット曲を持つアーティストが選外となり、メディア露出の少ない実力派や別ジャンルのグループが名を連ねていたことが、ライトな音楽リスナーに強い違和感を与えたためです。
このギャップが生じる背景には、現代のアルゴリズム型ヒットとレコード大賞の評価軸の乖離が存在します。SNSの短尺動画で消費される楽曲は、サビの数秒間やダンス動画のBGMとして爆発的に拡散される傾向があります。しかし、日本作曲家協会を中心とする審査員が注視しているのは、単発的なバズではありません。「フルコーラスを歌い切る歌唱力」「バックバンドを従えて生演奏に耐えうる実演能力」、そして「作品に対する歌唱表現の芸術性」という、極めてクラシカルかつ本格的な音楽適性が問われます。
音楽プロデューサーや選考関係者の証言を総合すると、生放送の舞台で実際に歌唱を披露した際に、破綻のないパフォーマンスを届けられる実力が担保されているかどうかが、水面下で極めて重要な足切りラインになっています。ネット上で「なぜ?」と騒がれる新人ほど、実は音楽関係者や生演奏を重視する現場のクリエイターから圧倒的な支持を集めているケースが珍しくありません。