なぜ彼らは、特定の時間帯にこれほどまでの音量で鳴き叫ぶのか。その理由は、彼らが生き残るために獲得した集団習性と防衛本能にある。
日中、郊外の農地や公園で分散して餌を探していたムクドリたちは、夕暮れ時になると天敵から身を守るために一つの場所に集結する。タカやハブ、カラスなどの天敵は、単独でいる個体を狙う。しかし、数千匹単位の巨大な群れ(ねぐら)を形成すれば、個体が襲われる確率は劇的に低下する。つまり、あの圧倒的な集団行動自体が、彼らにとっての強固な城壁なのだ。
さらに、集まることによって「安全な場所の情報共有」や「体温の保持」を行っているとも言われる。夕方の鳴き声は、仲間に対して「ここに集まれ」「今日のねぐらはここだ」と呼びかけ合うコミュニケーションの合唱であり、夜を迎える前の儀式のような側面を持っているのだ。