単に素材が良いだけなら、豊かな資金力を持つ大手チェーンでも真似ができるかもしれない。しかし、真の差別化は素材の真価を極限まで引き出す職人の「手仕事」にある。魚種ごとの個体差や脂の乗り具合を瞬時に見極め、寸分の狂いもなく施される神経締めと血抜き。
さらに圧巻なのは、巧みな熟成技術だ。水揚げ直後のコリコリとした食感を味わうべき魚と、数日間じっくりと寝かせて旨味成分であるイノシン酸を爆発させるべき魚。その見極めが見事なまでに冴え渡る。一切れの刺身の向こう側に、長年培われた職人の深い観察眼と美学が透けて見える。