1968年、映画の撮影現場で運命の出会いを果たしたのが、鬼才ミュージシャンのセルジュ・ゲンズブールだった。当初は気取った偏屈な男という最悪の第一印象から始まったふたりの関係は、夜のパリを巡る一晩のドライブで劇的に一変する。気品漂う英国の少女と、退廃的でニヒルなフランスの天才。この不均衡でスキャンダラスなカップルは、またたく間にパリのポップカルチャーの頂点へと上り詰めた。
ふたりが世界中に衝撃を与えたのが、あまりに官能的なバラード「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」である。ラジオ放送禁止の処置をとる国が相次ぐほどのスキャンダルとなったこの曲によって、ふたりはフレンチ・ポップの象徴としての地位を確立した。映画『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』をはじめとする共作群を通じて、彼らは愛と芸術が完璧に融合した時代の伝説を紡ぎ出していったのだ。