クラスメイトと関わりを持たず、本の世界に没頭していた「僕」こと志賀春樹。そんな彼にとって、誰からも愛され、太陽のように周囲を照らす山内桜良は、自分にはない眩しさを持つ存在だった。一方で、死と隣り合わせの孤独を抱えていた桜良にとって、自分を「病気のヒロイン」としてではなく、一人の人間として対等に扱ってくれる春樹は唯一無二の救いだった。
「君になりたい」というお互いへの想いは、他者への純粋な憧れと肯定の到達点である。自分に欠けている部分を相手の中にに見出し、それを尊重し合うこと。恋人という定義すら必要としない二人の関係性は、人間関係の理想形として現代を生きる私たちの心に深く突き刺さる。