物語のクライマックスにおけるカタルシスは圧倒的だ。主人公アレクサンドラを冤罪で陥れ、処刑台へと追いやろうとしていた第二王子アロンソと、健気なヒロインを演じていた裏の黒幕エレナ。二人が張り巡らせた周到な罠を、アレクサンドラはたった一日で構築した反撃のロジックによって完膚なきまでに打ち砕く。
断罪の場となる夜会で提示されたのは、エレナが裏で手を染めていた証拠隠滅の失敗と、自ら買い取っていた毒薬の購入記録。逃げ場を失った王子と偽りのヒロインに対し、容赦なく突きつけられる冷徹な真実。格下の悪役令嬢だと言い放たれていたはずの彼女が、王宮全体の権力構造すら塗り替えてみせる「ざまあ」の爽快劇は、本作最大のハイライトだ。
真のラストにおいて、アレクサンドラは単なる無罪放免にとどまらず、国を揺るがす危機を防いだ功労者として、真の理解者である第一王子アルフレッドと手を取り合う。かつて自分を裏切った者たちが没落し、自業自得の末路をたどる対比は、爽快感という言葉だけでは語り尽くせない余韻を残す。