どれほど丁寧な下処理を施しても、火加減を間違えれば台無しになります。豚肉を焼く際の基本は、「強火でカリッと」ではなく「中弱火でじっくり熱を伝える」ことです。
フライパンを強火で煙が出るまで熱するのではなく、中火で温めて油をなじませたら、弱めの中火に落として肉を並べます。片面を焼き色がつくまで2〜3分静かに焼き、裏返したら火をさらに弱めます。パサつかない火加減と焼き時間の基準は、肉の厚みにもよりますが、表面にうっすらと透明な肉汁が浮き出てきた瞬間が加熱完了の合図です。
そして、最も重要な工程がフライパンでの余熱調理法です。完全に芯まで火が通る手前(全体の8割程度火が通った状態)で火を止め、フライパンにフタをして2〜3分そのまま放置します。あるいは肉を取り出し、アルミホイルにふんわり包んで休ませます。余熱を使うことで、中心温度をタンパク質が急激に縮まない65度前後に保ちながら芯まで安全に熱を通し、ジューシーな肉汁を内部に定着させることができます。