物語の前半のクライマックスとなる網走監獄潜入作戦において、杉元佐一はついに厳重に隔離された独房でのっぺらぼうと直接面会を果たします。そこで杉元が目撃したのは、青い瞳を持つ男――紛れもなくアシリパの父・ウイルクでした。
一方、大日本帝国陸軍第七師団を率いる鶴見中尉もまた、ウイルクの過去を知る因縁の人物でした。日露戦争以前、ウラジオストクで情報将校(長谷川幸一)として活動していた鶴見は、ウイルクたちの銃撃戦に巻き込まれ妻子を失った過去を持っています。鶴見中尉は網走監獄を急襲してウイルクを確保し、金塊の暗号を吐かせようと激しい執念を燃やしました。
独房の中で杉元と対峙したウイルクは、「アシリパをアイヌを率いるゲリラ指導者に育てる」という冷徹な決意を吐露します。娘を戦火に巻き込みたくない杉元は激しく憤りますが、ウイルクの真意は、過酷な近代化の波の中でアイヌが生き残るための唯一の防衛策だったのです。