金鱗湖の象徴とも言える朝霧ですが、そもそも金鱗湖の温泉と湧水はなぜ混ざり合い、霧を生み出すのかという疑問を持つ方も少なくありません。この現象の鍵は、湖底の極めて特異な地質構造にあります。
金鱗湖の底からは、毎分大量の清水とともに、約30℃前後の温泉水が絶え間なく湧き出ています。秋から冬にかけて由布院盆地の放射冷却が進み、早朝の気温が氷点下近くまで下がると、温かい湖水と冷たい外気の境界面で水蒸気が急激に凝結します。これが、まるで湖全体が湯気を立てているかのような「蒸気霧(じょうきぎり)」を生み出す物理的メカニズムです。
由布市観光協会や気象観測データに基づくと、金鱗湖の朝霧の見頃時間帯は日の出直後から午前8時頃まで。特に10月下旬から2月にかけての、前日と当日の気温差が大きく、風のない晴天の朝に最も濃い霧が発生します。湖畔に立つと、立ち込める霧の合間から朝日が差し込み、光のカーテンが広がる神秘的な情景に出合えます。
なお、「金鱗湖」という雅な名称は、明治初期の儒学者・毛利空桑(もうりくうそう)が、湖畔の露天風呂から夕日を受けて黄金色に輝く魚の鱗(ウロコ)を見て名付けたという伝承が残されています。