骨を切り離して移動させる全身麻酔手術であるため、術後の身体的・精神的負担は決して軽微ではありません。実際の入院から回復に至るまでの経過には、一般的な治療とは異なる過酷なハードルが存在します。
一般的な入院期間は1週間から2週間程度となります。手術直後から数日間は「顎間固定」と呼ばれる上下の歯をワイヤーやゴムで緊縛する処置が施されることが多く、口を全く開けることができません。鼻呼吸が困難になった際の息苦しさや、術後3日目をピークに発生する顔全体の激しい腫れ、内出血、痰の吸引など、患者の手記やSNSでは「術後数日間は想像を絶する息苦しさと吐き気との闘いだった」という声が多数報告されています。
退院後も数週間から数ヶ月にわたり、流動食や刻み食といった食事制限が続きます。また、下歯槽神経の圧迫による下唇や顎先の知覚鈍麻(しびれ感)が残ることがあり、神経の回復には半年から1年以上の時間を要するケースも珍しくありません。
さらに、骨が完全に癒合した術後半年から1年半ほどのタイミングで、骨を固定していたチタンプレートやスクリューを体外へ取り出すプレート除去手術(抜プレート)が必要となります。再度数日間の入院と全身麻酔を伴う手術を受けることになり、顎変形症の治療は完了までに非常に長い忍耐を要します。