千年以上にわたり人々を恐怖に陥れた元凶、鬼舞辻無惨の死後には、他の鬼に描かれたような一抹の情緒すら与えられませんでした。太陽光と鬼殺隊の総力戦によって肉体を焼き尽くされた無惨は、死の間際に炭治郎へ自らの血と意志を強引に注ぎ込み、「鬼の王」として永遠の命を継承させようと目論みます。
しかし、死の淵の精神世界において炭治郎は、亡き仲間や家族たちの無数の手に押し上げられ、人間に戻る薬を受け入れて生還を果たします。炭治郎の足にしがみつき「私を置いていくな!」と醜く懇願した無惨は、誰にも顧みられることなく、永遠の闇と業火が渦巻く地獄の底へと沈んでいきました。自身の生存だけに固執し、他者の命を踏みにじり続けた絶対悪にふさわしい、完全な孤立の結末でした。