冷房器具の運用を見直す第一歩は、両者が消費するエネルギーの桁の違いを正確に把握することです。全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電力料金目安単価(1kWhあたり31円)を基準に、最新の一般的な家電製品における消費電力と稼働コストを算出しました。
扇風機とエアコン電気代比較において最も注目すべきは、モーターとコンプレッサーという構造的な違いです。扇風機は羽根を回転させて空気を動かすだけですが、エアコンは室内の熱を冷媒によって奪い、屋外へ排出する熱交換サイクル(ヒートポンプ技術)を駆動させています。この熱を運ぶ心臓部であるコンプレッサーの稼働に、多くの電力が投じられます。
とりわけDCモーター扇風機の消費電力は極めて低く、最弱運転時ではわずか2〜3W、強運転でも15〜20W程度にとどまります。一方、昔ながらのACモーター扇風機は強運転で40W前後を消費します。これに対し、6〜8畳向けの最新ルームエアコンは、室内が設定温度に達した安定期であっても100〜200W、室温を一気に下げる立ち上がり時には800〜1,200W前後の電力を必要とします。
数値を比較すれば明白な通り、1時間あたりの金額差は扇風機とエアコンでおよそ15倍から25倍に達します。「エアコンは電気代が高い」という世間の直感そのものは事実ですが、だからといって猛暑下で扇風機単体で乗り切ろうとするのは、健康リスクだけでなく光熱費の最適化という観点からも悪手となります。