萩原聖人の凄みは、テレビドラマの枠に収まりませんでした。映画界においても名監督たちから熱烈なオファーを受け、日本映画史に残る傑作群で強烈な爪痕を残しています。
中でも特筆すべきは、1997年に公開された黒沢清監督の映画『CURE(キュア)』です。記憶喪失の謎の男・間宮邦彦役を怪演した萩原聖人は、他者を言葉巧みに心理誘導して凶行へ走らせる不気味な狂気を静謐に表現。主演の役所広司と繰り広げた息詰まる心理戦は国内外で極めて高い評価を獲得し、第21回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞しました。このほか『月はどっちに出ている』や『マークスの山』など、日本映画界になくてはならない実力派としての地位を若くして確立したのです。
さらに、アニメ声優や吹き替えの分野でも突出した実績を残しています。
- 『闘牌伝説アカギ 〜闇に降り立った天才〜』:主人公・赤木しげる役として、冷徹で人間離れした天才雀士の声を完璧に表現。
- 『逆境無頼カイジ』:主人公・伊藤開司役を担当し、極限状態での叫びや魂の震えを生々しく演じ切って絶大な支持を獲得。
- 『冬のソナタ』:ペ・ヨンジュン演じるチュンサン/ミニョンの日本語吹き替えを担当し、日本中を席巻した韓流ブームの立役者に。
映像・声の演技を問わず、対象の魂を宿すような変幻自在の表現力は、彼のキャリアにおける大きな武器となっています。