ファンの間で長年語り継がれているのが、「あるけないけど おどれるよ / しゃべれないけど うたえるよ」というフレーズに込められたメッセージです。ぬいぐるみのくまは、生き物のように自分の足でスタスタと歩くことも、人間の言葉で流暢に喋ることもできません。
しかし、誰かに抱き上げられて揺らされれば「踊る」ことができ、宇多田ヒカルの歌声に乗せることで「歌う」ことができます。ここには、「何かができないからといって、不完全なわけではない」「自分にできる方法で表現し、世界と繋がることができる」という、自己受容と多様性の肯定が鮮やかに描かれています。
また、「ぼくはくま」と何度も繰り返す自己同一性の確認は、社会的な肩書や周囲の期待に縛られがちな現代人に対し、「あなたはあなたのままでいい」という優しいエールとして響きます。