ウェブサイトから簡単にデータ入稿ができるようになった現代だからこそ、発注時の初歩的な確認不足に起因する事故が多発しています。特に「納期」と「色味」に関する認識の齟齬は、イベント本番に間に合わないという致命的な損害をもたらします。
第一の落とし穴は、製造工場の物理的拠点に起因する納期リスクです。価格の安さを売りにしている業者の多くは、金型製作や成型ラインを中国をはじめとする海外提携工場に依存しています。海外生産の場合、標準納期は発注確定から実働14日〜25日前後を要するのが通例です。さらに、旧正月(春節)や国慶節といった長期休暇期間、あるいは税関での通関保留が発生した場合、予定納期が1週間以上平気で遅延する事態が発生します。
イベント開催日まで日数がない場合は、国内に印刷加工拠点を持ちオリジナルリストバンド短納期対応(最短即日〜3営業日発送など)を明記している業者を選ぶ必要があります。ただし、短納期プランは既成の無地バンドにUVプリントを施す仕様に限定される場合が多く、特殊な金型成型や蓄光・マーブル加工といった凝った仕様は選べない点に留意しなければなりません。
第二の落とし穴は、モニター上のRGBカラーと実物のシリコン着色における「色味の乖離」です。パソコンやスマートフォンの画面は光の三原色(RGB)で発光しているため、鮮やかな蛍光色や淡いパステルカラーに見えても、実際の顔料混練では同一の色を再現できません。デザインデータ作成時には、必ず印刷業界標準である「PANTONE Solid Coated」などの国際共通カラーチップ番号を指定することが必須です。色番号の指定を怠り、「画面通りの水色で」といった感覚的な発注を行うと、完成品がくすんだ灰色がかった青色に仕上がってくるリスクを抱えることになります。